咬合平面の計測とは
咬合平面の計測は、上下の歯が噛み合う面(咬合平面)の傾きを、器具を使って数値にする検査です。
当院では、咬合器に取り付けた歯の模型の上で、目盛りのついた器具を歯の噛む面に当てて測ります。
咬合平面(こうごうへいめん)は、一般に、前歯の先と奥歯の噛む面がつくる、平均的な面のことです。
実際の歯並びは平らではなく、ゆるやかに曲がっているため、その曲がりを平均した面として考えます。
入れ歯づくりでは、人工歯を並べるときの目安になる面も、咬合平面と呼びます。
咬合平面の計測のしくみ
写真の計測を例に、流れを4つの段階に分けてご紹介します。
- 模型をつくる:歯型を取り、歯列の模型をつくります。
- 咬合器に取り付ける:模型を咬合器に取り付けます。咬合器は、上下の歯の模型を取り付けて、顎の位置関係を再現する装置です。
- 板を噛む面に当てる:計測器の平らな板を、歯の噛む面に当てます。写真は、下あごの第一大臼歯(前から6番目の奥歯)で測っているところです。
- 目盛りで傾きを読む:板の傾きを、目盛りで読み取ります。
キャディアックスの製造元でもあるオーストリアの GAMMA Dental 社は、咬合器の上で咬合平面の傾きを「度」で測り、合わせるための器具を出しています。
製造元の説明では、器具を使った診査のほか、ワックスで歯の形をつくる工程でも使うとされています。
分析の基準の面
当院では、噛み合わせの分析の基準の面を、いつもアキシス・オルビタール平面にしています。
この基準で分析した情報は、咬合器の上に表すことができます。
基準の面についてはラテラルセファロ分析、咬合器についてはギルバッハ レファレンスSL咬合器のページでご説明しています。
研究での位置づけ
佐藤貞雄教授らの研究では、上あごの奥歯の咬合平面の傾きと、下あごの前後の位置との間に、関係がある可能性が報告されています。
上顎前突の方を調べた研究では、奥歯の咬合平面の傾きが急なことと、下あごが小さく後ろに下がっていることとの関係が報告されています。
これらは研究での知見で、一人ひとりの治療の結果を示すものではありません。
当院が咬合平面の計測を使う理由
傾きのずれを、数値でつかむため
噛む面の傾きを数値にすると、正常な範囲からどれくらい外れているかをつかめます。
直し方と、治療の期間を考えるため
噛む面の傾きを、矯正で整えるか、かぶせ物などで整えるかによって、治療の期間は変わります。
一方で、直し方が違っても、目指す噛み合わせは同じです。
測った値は、治療の選択肢を考えるための材料になります。
奥歯の傾きは、下あごの位置に関わると考えているから
院長は、奥歯の列の噛む面の傾きが、下あごの前後の位置に関わると考えています。
そのため、上顎前突と下顎前突とでは、矯正で奥歯の噛む面に働きかける角度が違います。
入れ歯では、人工歯を並べる面を決める必要があるから
総入れ歯では、人工歯を並べる面の傾きを決める必要があります。
当院では、ラテラルセファロ分析の骨格の情報をもとに、咬合平面を設定します。
詳しくは、ラテラルセファロ分析と人工歯の排列のページをご覧ください。
当院での実際
詳しい検査の中で
咬合平面の計測は、噛み合わせを診査する過程で、歯型からつくった模型を使って行います。
料金表でも、「矯正検査(噛み合わせの検査)」の欄に、咬合平面の計測の写真を載せています。
計測は、模型の上で行います。
患者さんにしていただくのは、歯型を取ることです。
矯正歯科
矯正では、奥歯の噛む面の傾きを整えることがあります。
当院では、ループを曲げ込んだワイヤー(MEAW)で、一本ずつの歯の高さや傾きを考えながら動かします。
ワイヤーについては、MEAWのページをご覧ください。
顎関節症
顎関節症の治療では、噛む面の傾きを整えることが、治療の目標の一つになることがあります。
かぶせ物
噛む面の傾きを、かぶせ物などの形で整える方法もあります。
ほかの検査と合わせて
咬合平面の値だけで、治療の方針を決めることはありません。
骨格、顎関節の動き、一本ずつの歯の状態などと合わせて考えます。
咬合平面の計測で分かること・分からないこと
咬合平面の計測で分かること
- 歯の噛む面の傾き(数値)
- 正常な範囲からのずれの程度
- 直し方(矯正か、かぶせ物などか)を考えるための手がかり
分からないこと・当院での補い方
| 分からないこと | 当院での補い方 |
|---|---|
| 顎関節の動き | キャディアックス |
| 骨格(上下の顎の位置関係・顔の高さ) | ラテラルセファロ分析 |
| 一本ずつの歯の向きや傾き | 分割模型 |
| 寝ている間の歯の接触 | ブラックスチェッカー |
| 傾きを整えた噛み合わせが、口の中で合うか | 仮歯・仮義歯を使っていただきながら確かめる |
また、噛む面の傾きの数値だけで、症状の原因を決めることはできません。
よくあるご質問
- 咬合平面とは、何ですか?
上下の歯が噛み合う面のことです。
前歯の先と奥歯の噛む面がつくる、平均的な面として考えます。
- 口の中で測るのですか?
いいえ。歯型からつくった模型を咬合器に取り付け、その上で測ります。
患者さんにしていただくのは、歯型を取ることです。
- 傾きがずれていたら、治療が必要ですか?
測った値は、治療を考えるための情報の一つです。
ほかの検査の結果と合わせて考え、治療の選択肢と、それぞれの費用・期間・回数をご説明します。
検査の結果、矯正を行わない判断になることもあります。
- 矯正とかぶせ物では、何が違いますか?
噛む面の傾きを、歯を動かして整えるか、かぶせ物などの形で整えるかの違いです。
方法によって、治療の期間が変わります。
どちらの方法でも、目指す噛み合わせは同じです。
- 入れ歯でも、咬合平面を考えますか?
はい。総入れ歯では、ラテラルセファロ分析の骨格の情報をもとに、咬合平面を設定します。
関連する技術・治療
参考にした資料
一般的な説明(咬合平面の意味・計測の器具・研究)に、次の公開資料を参考にしました。当院のやり方は、院長の投稿・説明によるものです。
- The Academy of Prosthodontics「The Glossary of Prosthodontic Terms, Ninth Edition」J Prosthet Dent. 2017;117(5S)(英語・PDF)
- GAMMA Dental「Instrumental Diagnostics」(製造元・英語)
- Tanaka EM, Sato S. Longitudinal alteration of the occlusal plane and development of different dentoskeletal frames during growth. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2008;134(5):602.e1-11(英語)
- Fushima K, et al. Significance of the cant of the posterior occlusal plane in class II division 1 malocclusions. Eur J Orthod. 1996;18(1):27-40(英語)
相談・お問い合わせ
医療法人社団 耆婆会 吉見歯科医院
〒194-0001 東京都町田市つくし野1-29-1 スクエア2 302(3階)
TEL 042-795-1359 FAX 042-795-1398
診療日: 月・火・木・金 10:00–13:00 / 14:30–18:00
初診は、検査と診断を行う初診コンサルテーション(自由診療・30分〜1時間)から始まります。他院での診断についてのご相談も、この中でお受けします。
噛めない、症状が強いなど緊急の場合は、お電話(042-795-1359)でご相談ください。





