ブラックスチェッカーとは

ブラックスチェッカー(Brux Checker)は、寝ている間に歯に着けて、睡眠中の歯ぎしりでどの歯がどのように接触したかを記録する、ごく薄いシートです。

シートの片面には赤い色が付いていて、歯がこすれた所は、その色がはがれます。

当院の診査項目では、「夜間顎運動の診査」にあたります。

「ブラックス(brux)」は、歯ぎしり(ブラキシズム)を表す言葉です。

ブラキシズムとは、食べるとき以外に、無意識に歯をこすり合わせたり、噛みしめたりすることをいいます。

ブラックスチェッカーは、神奈川歯科大学の佐藤貞雄教授らが考案したものです。

シートの厚さは、成形する前の状態で0.1mmです。

上の歯列に着けた、ピンク色の薄いシート(ブラックスチェッカー)。ところどころに色がはがれた所や、黒っぽい点がある
歯に着けたブラックスチェッカー(上の歯列)

ブラックスチェッカーのしくみ

販売元の説明をもとに、一般的な使い方を4つの段階に分けてご紹介します。

  1. 模型をつくる:歯型を取り、硬い石膏で歯列の模型をつくります。
  2. シートを歯の形に合わせる:シートを温めて模型に押し当て、歯の形に合わせます。赤い色の面は、噛み合う反対側の歯に向けます。
  3. 寝るときに着ける:できたシートを、寝るときに歯に着けます。一般には、少なくとも一晩着けるとされています。上に2晩、下に2晩と、交互に着ける方法もあります。
  4. こすれた跡を見る:外したシートの、色がはがれた所を見ます。どの歯が、どの方向に、どの広さでこすれたかが分かります。

こすれ方の型

一般に、下あごを横へ動かしたときに、動かした側のどの歯まで接触しているかで、こすれ方を型に分けます。

型の名前横へ動かしたときに接触する歯
IC前歯・犬歯
ICP前歯・犬歯・小臼歯
ICPM前歯・犬歯・小臼歯・大臼歯

アルファベットは、前歯(Incisor)、犬歯(Canine、前から3番目の歯)、小臼歯(Premolar、犬歯のうしろの2本)、大臼歯(Molar、小臼歯よりうしろの大きな奥歯)の頭文字です。

あわせて、動かした側と反対側の歯がこすれているかも見ます。

当院でも、夜間のこすれ方を、このような型の名前で表すことがあります。

咬合紙(赤と青の紙)との違い

噛み合わせの接触は、一般に、咬合紙を噛んでいただいて確かめます。

咬合紙は、色の付いた薄い紙で、噛んだときに当たった所に色が付きます。

咬合紙で分かるのは、起きている間に、噛んでいただいたときの接触です。

院長は、起きている間は強く噛みすぎないように脳が調節しているため、寝ている間の強い接触は、咬合紙では見つけにくいと考えています。

販売元の資料でも、診察で見つかる接触と、歯ぎしりのときの接触は異なるとされています。

比べる点咬合紙ブラックスチェッカー
記録するとき起きている間(診療室で噛んでいただく)寝ている間
記録のしかた当たった所に色が付くこすれた所の色がはがれる
分かること噛んだときに当たる所歯ぎしりのときに、どの歯がどうこすれたか
奥歯3本分の仮歯。噛む面に、赤と青の咬合紙の跡が残っている
咬合紙の跡が残る仮歯

当院がブラックスチェッカーを使う理由

歯が強く接触しやすいのは、寝ている間だから

院長は、上下の歯が強く接触するのは、起きている間よりも、寝ている間の歯ぎしりのときだと考えています。

起きている間は、自分の意思で、顎の力を加減できます。

眠っている間は、それができません。

そのため当院では、昼の噛み合わせだけでなく、夜の噛み合わせも確かめます。

噛み合わせを、昼と夜の両方の記録から考えるため

当院では、噛み合わせを考えるとき、骨格の記録、顎関節の3次元の動きの記録、寝ている間の歯ぎしりの記録などを合わせます。

ブラックスチェッカーは、そのうちの「寝ている間」の記録にあたります。

整えた噛み合わせが、夜にも保たれているかを見るため

治療で整えた噛み合わせが、寝ている間にも保たれているかを確かめるため、治療の途中や後にも使います。

院長は、寝ている間の接触の数と強さが左右でそろっていること、横へ動かしたときに奥の歯から順に離れていくことを大切にしています。

奥の歯から順に離れていく噛み合わせについては、シーケンシャルオクルージョンのページをご覧ください。

考案した教授の研究とのつながり

院長は、2002年から2017年まで、ブラックスチェッカーを考案した佐藤貞雄教授らのもとで、噛み合わせと脳の働き、ストレスについての研究に加わりました。

当院での実際

使う場面

顎関節症・矯正の検査で、必要に応じて使います。

料金表の「矯正検査(噛み合わせの検査)」では、診査項目の「夜間顎運動の診査」にあたります。

歯周病の検査でも、必要に応じて、噛み合わせを調べるために使うことがあります。

治療の前・途中・後

ブラックスチェッカーは、治療の流れの中で、何度か使います。

  1. 治療の前:詳しい検査で、寝ている間の歯の接触を記録します。
  2. 治療の途中:装置や矯正で噛み合わせを整えている途中にも記録し、接触の変化を追います。
  3. 治療の後:整えた噛み合わせが、寝ている間にも保たれているかを見ます。
  4. 治療が終わってからも:必要に応じて、この確認を続けます。

シートの跡で見ること

当院では、シートの跡から、次のようなことを確かめます。

  • 接触が、一部の歯に集まっていないか
  • 横へ動かしたときに、歯を導いている面(ガイドの面)がどこか
  • 後ろへ動かしたときに、歯を導いている面がどこか
  • 噛んだときに縦方向に支える点(バーティカルストップ)が、どう分布しているか
  • 接触の数や強さに、左右で差がないか
  • こすれ方の型
上の歯列に着けた赤いシートの、前歯のあたり。犬歯や小臼歯の一部で、赤い色がはがれて白っぽくなっている
色がはがれた所(前歯・小臼歯のあたり)

ほかの記録と合わせて

ブラックスチェッカーの跡だけで、治療の方針を決めることはありません。

骨格、顎関節の動き、起きている間の噛み合わせの記録と合わせて考えます。

ブラックスチェッカーで分かること・分からないこと

ブラックスチェッカーで分かること

  • 寝ている間に、どの歯がどのように接触したか
  • 横や後ろへ動いたときに、歯を導いた面
  • 縦方向の支えの点の分布
  • こすれ方の型と、左右の差
  • 治療の前・途中・後での、接触の変化

分からないこと・当院での補い方

分からないこと当院での補い方
顎関節の動きキャディアックス
骨格(上下の顎の位置関係・顔の高さ)ラテラルセファロ分析
起きている間に噛んだときの接触咬合紙(赤と青の紙)で確かめる
検査で測った値にもとづく、模型の上での噛み合わせギルバッハ レファレンスSL咬合器

一方で、ブラックスチェッカーは、こすれた跡を残すシートです。

次のことは、このシートだけでは分かりません。

  • 歯ぎしりの原因
  • 歯ぎしりの回数や、そのときの筋肉の力の大きさ(直接は測れません)
  • こすらずに、じっと噛みしめる動きの様子

販売元の資料でも、このシートで原因を決めることはできないとされています。

ある研究では、色がはがれた面積は、歯をこすり合わせるタイプの歯ぎしりの回数とは関係が見られた一方、噛みしめるタイプとの関係は見られなかったと報告されています。

また、着ける晩数によって、跡の広さや、歯ぎしりの有無を見分ける性能が変わることも報告されています。

歯ぎしりがあるかどうかを見分ける検査としては、標準的な方法と比べて正確さに限りがある、とする研究もあります。

当院では、ブラックスチェッカーの跡を、ほかの記録と合わせて、寝ている間の接触の様子を見るために使います。

よくあるご質問

咬合紙の検査とは、何が違うのですか?

咬合紙は、起きている間に噛んでいただいたときの接触を見るものです。

ブラックスチェッカーは、寝ている間に着けて、歯ぎしりのときの接触を記録します。

どんなときに使いますか?

顎関節症・矯正の検査で、必要に応じて使います。

治療の前だけでなく、途中や後にも使い、接触の変化を確かめます。

ブラックスチェッカーを着けると、歯ぎしりが止まりますか?

いいえ。ブラックスチェッカーは、寝ている間の歯の接触を記録するためのシートです。

歯ぎしりを止めたり、減らしたりするための装置ではありません。

どの検査に含まれていますか?

料金表の「矯正検査(噛み合わせの検査)」の中の、「夜間顎運動の診査」にあたります。

通院の目安(2〜3回)は、この検査全体の回数です。

治療が終わったあとも使いますか?

はい。治療で整えた噛み合わせが、寝ている間にも保たれているかを見るため、必要に応じて確認を続けます。

参考にした資料

一般的な説明(ブラックスチェッカーのしくみ・こすれ方の型・限界)に、次の公開資料を参考にしました。当院のやり方は、院長の投稿・説明によるものです。

相談・お問い合わせ

医療法人社団 耆婆会 吉見歯科医院
〒194-0001 東京都町田市つくし野1-29-1 スクエア2 302(3階)
TEL 042-795-1359 FAX 042-795-1398
診療日: 月・火・木・金 10:00–13:00 / 14:30–18:00

初診は、検査と診断を行う初診コンサルテーション(自由診療・30分〜1時間)から始まります。他院での診断についてのご相談も、この中でお受けします。

噛めない、症状が強いなど緊急の場合は、お電話(042-795-1359)でご相談ください。

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