ジルコニアのかぶせ物とは

ジルコニアのかぶせ物は、歯を覆うかぶせ物(クラウン)を、ジルコニアという素材でつくったものです。

ジルコニアは、金属を使わないセラミックの一種です。

いま歯のかぶせ物に使われているのは、正確には、イットリアという成分を少し加えた「イットリア部分安定化ジルコニア」です。

当院では、噛む面まで、ジルコニアだけでかぶせ物をつくります。

形は、まずワックスでつくり、その形をデータにして、ジルコニアから削り出します。

ジルコニアクラウン(1歯)の噛む面
ジルコニアクラウン(1歯)

ジルコニアのかぶせ物のしくみ

ジルコニアのかぶせ物は、次の順でつくります。

  1. ワックスで形をつくる:模型の上で、噛む面の溝や傾きまで、ワックスで形をつくります(ワックスアップ)。
  2. 光で読み取る:ワックスの形を光学的に読み取り、デジタルのデータにします。
  3. 削り出す:CAD/CAM(コンピューターで形のデータを扱い、そのデータに沿って機械で材料を削るしくみ)で、ジルコニアを削り出します。
  4. 焼き固める:削り出したジルコニアを、熱を加えて焼き固めます(焼成)。
  5. ずれを補正する:焼き固めたあと、元のデータの形とのずれを補正します。

焼き固めると、縮む

一般に、ジルコニアは、焼き固める前のやわらかい状態で削り出し、そのあと焼き固めます。

焼き固めるときに材料が縮み、長さで2割ほど(イットリアの量によって約18〜21%)小さくなります。

そのため、削り出すときは、この縮みの分を見込んで、コンピューターで大きめにつくります。

それでも生じる、2つのずれ

縮みを見込んで削り出しても、できあがった形は、元のデータどおりにはなりません。

院長は、そのずれの理由を2つ挙げています。

ずれの理由何が起こるか
削る工具(ミーリングドリル)の先端の直径できあがる形が、先端の直径の影響を受ける
焼き固めるときの縮み形が、元のデータから外れていく

このずれは避けられないため、当院では最後に補正します。

冷たい水で冷やしながら、ダイヤモンドの工具を低い圧力・低い速度で当て、元のデータの形に戻していきます。

噛む面の細かな形まで再現することを目指しています。

黒っぽい台の上に置いた、歯列全体のかぶせ物
全顎のかぶせ物

当院がジルコニアのかぶせ物を使う理由

噛む面まで、ジルコニアの強さを生かすため

当院では、ジルコニアの表面の強さを、そのまま噛む面に生かすため、噛む面までジルコニアだけでつくる方法を選んでいます。

かぶせ物の噛む面を、近くから写したもの。溝や山の形が見える
ジルコニアのかぶせ物の噛む面(拡大)

設計した噛む面を、細かく再現するため

ワックスで設計した噛む面の形を、データと削り出し、そして最後の補正によって、細かく再現することを目指しています。

当院での実際

ジルコニアのかぶせ物を使う場面

  • 審美歯科のかぶせ物(審美歯科)
  • 根管治療のあとのかぶせ物:根管治療のあとは、多くの場合かぶせ物が必要になります(根管治療)
  • 矯正や顎関節症の治療のあと:整えた顎の位置と噛み合わせを保つためのかぶせ物を、ワックスでデザインします(顎関節症・矯正歯科)
  • すべての歯を整える、全顎のかぶせ物

つくる流れ

  1. 咬合器に検査の値を設定した模型の上で、ワックスで形をつくります(ワックスアップ・ギルバッハ レファレンスSL咬合器)。
  2. 最終的なかぶせ物の前に、仮歯で形や噛み合わせを確かめます。インレー(歯の一部を補う詰め物)のような小さなものでも、仮歯をつくります(仮歯・仮義歯)。
  3. ワックスの形を読み取り、削り出し、焼き固め、補正します。
  4. できあがったかぶせ物を、拡大して確認します(技工室の実体顕微鏡)。
  5. お口に入れるときは、歯科用マイクロスコープで、かぶせ物と歯との境目を拡大して、適合を確かめます。

ジルコニアのかぶせ物でできること・できないこと

ジルコニアのかぶせ物でできること

  • ワックスで設計した形を、データを介してジルコニアに置き換える
  • 1本のかぶせ物から、複数の歯をつないだ連結冠、全顎のかぶせ物までつくる
  • 噛む面まで、金属を使わずにつくる

できないこと・当院での補い方

削り出しと焼き固めでは、ずれを見込んでも、元の形どおりにはなりません。

また、お口の中で合うかどうかは、模型の上だけでは分かりません。

ジルコニアのかぶせ物でも、知覚過敏や、破損・脱離が起こることがあります。

できないこと当院での補い方
削り出しと焼き固めのずれを、機械だけでなくすこと冷たい水で冷やしながら、低い圧力・低い速度のダイヤモンドの工具で補正する
かぶせ物がその方のお口に合うかを、模型の上だけで確かめること仮歯で使ってみて確かめる
かぶせ物と歯との境目の適合を、肉眼だけで確かめること技工室の実体顕微鏡と歯科用マイクロスコープで拡大して確かめる

よくあるご質問

金属を使わないかぶせ物ですか?

はい。噛む面まで、ジルコニアだけでつくります。

ジルコニアの表面の強さを、噛む面に生かすためです。

ジルコニアは、セラミックなのですか?

はい。ジルコニアはセラミックの一種です。

歯のかぶせ物に使われているのは、イットリアという成分を少し加えた、イットリア部分安定化ジルコニアです。

CAD/CAMで削れば、設計どおりの形になりますか?

焼き固めると2割ほど縮むため、その分を見込んで削り出しますが、それでも元の形どおりにはなりません。

当院では、最後に形を補正します。

なぜ、先にワックスで形をつくるのですか?

噛み合わせに必要な形を、まず手で形にして確かめるためです。

その形を光で読み取ってデータにし、ジルコニアに置き換えます。

ジルコニアなら、割れたり外れたりしませんか?

割れない、外れないとは言えません。

知覚過敏や、破損・脱離が起こることがあります。

参考にした資料

一般的な説明(ジルコニアという素材と、焼き固めるときの縮み)に、次の公開資料を参考にしました。当院のやり方は、院長の投稿・説明によるものです。

相談・お問い合わせ

医療法人社団 耆婆会 吉見歯科医院
〒194-0001 東京都町田市つくし野1-29-1 スクエア2 302(3階)
TEL 042-795-1359 FAX 042-795-1398
診療日: 月・火・木・金 10:00–13:00 / 14:30–18:00

初診は、検査と診断を行う初診コンサルテーション(自由診療・30分〜1時間)から始まります。他院での診断についてのご相談も、この中でお受けします。

噛めない、症状が強いなど緊急の場合は、お電話(042-795-1359)でご相談ください。

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