ジルコニアのかぶせ物とは
ジルコニアのかぶせ物は、歯を覆うかぶせ物(クラウン)を、ジルコニアという素材でつくったものです。
ジルコニアは、金属を使わないセラミックの一種です。
いま歯のかぶせ物に使われているのは、正確には、イットリアという成分を少し加えた「イットリア部分安定化ジルコニア」です。
当院では、噛む面まで、ジルコニアだけでかぶせ物をつくります。
形は、まずワックスでつくり、その形をデータにして、ジルコニアから削り出します。
ジルコニアのかぶせ物のしくみ
ジルコニアのかぶせ物は、次の順でつくります。
- ワックスで形をつくる:模型の上で、噛む面の溝や傾きまで、ワックスで形をつくります(ワックスアップ)。
- 光で読み取る:ワックスの形を光学的に読み取り、デジタルのデータにします。
- 削り出す:CAD/CAM(コンピューターで形のデータを扱い、そのデータに沿って機械で材料を削るしくみ)で、ジルコニアを削り出します。
- 焼き固める:削り出したジルコニアを、熱を加えて焼き固めます(焼成)。
- ずれを補正する:焼き固めたあと、元のデータの形とのずれを補正します。
焼き固めると、縮む
一般に、ジルコニアは、焼き固める前のやわらかい状態で削り出し、そのあと焼き固めます。
焼き固めるときに材料が縮み、長さで2割ほど(イットリアの量によって約18〜21%)小さくなります。
そのため、削り出すときは、この縮みの分を見込んで、コンピューターで大きめにつくります。
それでも生じる、2つのずれ
縮みを見込んで削り出しても、できあがった形は、元のデータどおりにはなりません。
院長は、そのずれの理由を2つ挙げています。
| ずれの理由 | 何が起こるか |
|---|---|
| 削る工具(ミーリングドリル)の先端の直径 | できあがる形が、先端の直径の影響を受ける |
| 焼き固めるときの縮み | 形が、元のデータから外れていく |
このずれは避けられないため、当院では最後に補正します。
冷たい水で冷やしながら、ダイヤモンドの工具を低い圧力・低い速度で当て、元のデータの形に戻していきます。
噛む面の細かな形まで再現することを目指しています。
当院がジルコニアのかぶせ物を使う理由
噛む面まで、ジルコニアの強さを生かすため
当院では、ジルコニアの表面の強さを、そのまま噛む面に生かすため、噛む面までジルコニアだけでつくる方法を選んでいます。
設計した噛む面を、細かく再現するため
ワックスで設計した噛む面の形を、データと削り出し、そして最後の補正によって、細かく再現することを目指しています。
当院での実際
ジルコニアのかぶせ物を使う場面
- 審美歯科のかぶせ物(審美歯科)
- 根管治療のあとのかぶせ物:根管治療のあとは、多くの場合かぶせ物が必要になります(根管治療)
- 矯正や顎関節症の治療のあと:整えた顎の位置と噛み合わせを保つためのかぶせ物を、ワックスでデザインします(顎関節症・矯正歯科)
- すべての歯を整える、全顎のかぶせ物
つくる流れ
- 咬合器に検査の値を設定した模型の上で、ワックスで形をつくります(ワックスアップ・ギルバッハ レファレンスSL咬合器)。
- 最終的なかぶせ物の前に、仮歯で形や噛み合わせを確かめます。インレー(歯の一部を補う詰め物)のような小さなものでも、仮歯をつくります(仮歯・仮義歯)。
- ワックスの形を読み取り、削り出し、焼き固め、補正します。
- できあがったかぶせ物を、拡大して確認します(技工室の実体顕微鏡)。
- お口に入れるときは、歯科用マイクロスコープで、かぶせ物と歯との境目を拡大して、適合を確かめます。
ジルコニアのかぶせ物でできること・できないこと
ジルコニアのかぶせ物でできること
- ワックスで設計した形を、データを介してジルコニアに置き換える
- 1本のかぶせ物から、複数の歯をつないだ連結冠、全顎のかぶせ物までつくる
- 噛む面まで、金属を使わずにつくる
できないこと・当院での補い方
削り出しと焼き固めでは、ずれを見込んでも、元の形どおりにはなりません。
また、お口の中で合うかどうかは、模型の上だけでは分かりません。
ジルコニアのかぶせ物でも、知覚過敏や、破損・脱離が起こることがあります。
| できないこと | 当院での補い方 |
|---|---|
| 削り出しと焼き固めのずれを、機械だけでなくすこと | 冷たい水で冷やしながら、低い圧力・低い速度のダイヤモンドの工具で補正する |
| かぶせ物がその方のお口に合うかを、模型の上だけで確かめること | 仮歯で使ってみて確かめる |
| かぶせ物と歯との境目の適合を、肉眼だけで確かめること | 技工室の実体顕微鏡と歯科用マイクロスコープで拡大して確かめる |
よくあるご質問
- 金属を使わないかぶせ物ですか?
はい。噛む面まで、ジルコニアだけでつくります。
ジルコニアの表面の強さを、噛む面に生かすためです。
- ジルコニアは、セラミックなのですか?
はい。ジルコニアはセラミックの一種です。
歯のかぶせ物に使われているのは、イットリアという成分を少し加えた、イットリア部分安定化ジルコニアです。
- CAD/CAMで削れば、設計どおりの形になりますか?
焼き固めると2割ほど縮むため、その分を見込んで削り出しますが、それでも元の形どおりにはなりません。
当院では、最後に形を補正します。
- なぜ、先にワックスで形をつくるのですか?
噛み合わせに必要な形を、まず手で形にして確かめるためです。
その形を光で読み取ってデータにし、ジルコニアに置き換えます。
- ジルコニアなら、割れたり外れたりしませんか?
割れない、外れないとは言えません。
知覚過敏や、破損・脱離が起こることがあります。
関連する技術・治療
参考にした資料
一般的な説明(ジルコニアという素材と、焼き固めるときの縮み)に、次の公開資料を参考にしました。当院のやり方は、院長の投稿・説明によるものです。
- 宮﨑隆 ほか「CAD/CAM 用歯科材料の進化」昭和学士会誌 75巻1号 12–20頁, 2015(J-STAGE)
- Coldea A, et al. Shrinkage Behavior of Strength-Gradient Multilayered Zirconia Materials. Materials (Basel). 2025;18(14):3217(英語)
相談・お問い合わせ
医療法人社団 耆婆会 吉見歯科医院
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診療日: 月・火・木・金 10:00–13:00 / 14:30–18:00
初診は、検査と診断を行う初診コンサルテーション(自由診療・30分〜1時間)から始まります。他院での診断についてのご相談も、この中でお受けします。
噛めない、症状が強いなど緊急の場合は、お電話(042-795-1359)でご相談ください。










