筋電図とは
筋電図(EMG)は、筋肉が働くときに生じる電気的な変化を、波形として記録するものです。
当院の研究では、噛むときに働く頬の筋肉(咬筋)の活動を、皮膚の上から記録しています。
当院の診査項目では、「筋電図による筋活動検査」にあたります。
顎関節症の詳しい検査でも、必要に応じて筋電図を行います。
このページでは、筋電図の記録のしくみと使い方をご紹介します。
治療の効果を説明するページではありません。
筋電図のしくみ
皮膚の上から、咬筋の電気的な変化を記録する
2026年の論文の研究をもとに、記録のしかたをご紹介します。
- 左右の咬筋の上の皮膚を、アルコール綿で拭きます。余分な信号(雑音)が記録に入らないようにするためです。
- 咬筋の上に、2つの電極を1組にして貼ります。皮膚の上から筋肉の活動を記録する方法を、表面筋電図といいます。
- はじめに、最大の力で7秒間噛みしめる記録を3回とります。
- その記録のいちばん大きな値を基準にして、ほかの時間の咬筋の活動を、割合(%MVC)で表します。
| 記録するとき | 表し方 |
|---|---|
| 最大の力で7秒間噛みしめる(3回) | 比べるときの基準にする |
| 力を抜いて、静かにしているとき | 基準に対する割合(%MVC) |
| 噛み合わせの条件を変えて、歯ぎしりの動きをしているとき | 基準に対する割合(%MVC) |
最大の噛みしめを基準にするのは、筋電図の記録でよく使われる方法だと、論文に書かれています。
噛みしめは、毎回同じように大きな値を出しやすく、動きの大きい歯ぎしりは基準に向かないためです。
心電図と同時に記録する
筋電図と心電図の設定画面
研究では、筋電図を、心電図と同じ多チャンネルの記録装置(テレメーター)で、同時に記録しています。
心電図と筋電図のデータをあわせてとり、総合的に調べることを目的としています。
写真の画面には、筋電図の設定が3つと、心電図の設定が1つ並んでいます。
当院が筋電図を使う理由
噛む筋肉の働きを、記録で確かめるため
院長は、顎関節症の今の状態を知るための検査に、筋電図と心電図が必要だと考えています。
噛む筋肉がいつ、どれだけ働いたかを、波形と数値で確かめます。
噛み合わせの条件による、筋肉の働きの違いを見るため
2026年の研究では、噛み合わせの条件を変えて歯ぎしりの動きをしたときに、咬筋の活動に違いがあるかを見るため、筋電図を記録しました。
寝ている間の歯ぎしりを調べるため
院長は、神奈川歯科大学で、睡眠中の歯ぎしり(睡眠ブラキシズム)のデータをとる機器の開発と、その解析を担当しました。
睡眠中の歯ぎしりの研究でも、咬筋の筋電図を記録しています。
当院での実際
研究での記録
2026年の論文の研究では、健康な成人の協力者17名に、最大の噛みしめの記録をとったあと、噛み合わせの条件を2通りに変えて、それぞれ30秒間の歯ぎしりの動きをしていただきました。
その間の左右の咬筋の筋電図を、心電図とあわせて記録しました。
睡眠中の歯ぎしりの記録
院長が筆頭著者の2009年の論文では、睡眠中の歯ぎしりを調べるために、2つの方向の動きを記録する加速度センサー・脳波・筋電図を組み合わせた記録のしくみを作りました。
健康な協力者19名を、睡眠実験室で記録しています。
論文では、この記録で、歯ぎしりの動きを、すり合わせる・くいしばる・歯をカチカチ当てる、の型に分けて見分けられたと報告しています。
2018年の論文の研究でも、健康な男性11名の睡眠中を、筋電図・心電図・脳波・加速度センサー・赤外線カメラで記録しました。
加速度センサー(研究)
顎の動きを記録するセンサー
筋電図が記録するのは、筋肉の活動です。
顎がどう動いたかは記録しません。
そこで院長は、睡眠中の歯ぎしりの研究に、動きを記録する加速度センサーを取り入れました。
センサーは約1cm角・厚さ約1mmの小さな基板で、中の薄いフィルムが動きで振動し、その振動が電気の信号に変わります。
研究のために使った装置です。
診療での記録
診療では、顎関節症の詳しい検査で必要と判断した患者さんに、筋電図を行います。
どの方にも同じように行う検査ではありません。
ほかに、寝ている間の歯の接触の記録(ブラックスチェッカー)や、自律神経反射検査(心拍変動・瞳孔反射)など、症状や状態に応じて必要な検査を選びます。
筋電図で分かること・分からないこと
分かること
- 噛む筋肉(咬筋)が、いつ、どれだけ働いたか(電気的な活動の大きさ)
- 最大の噛みしめを基準にした、筋肉の活動の割合(%MVC)
- 左右の咬筋の活動の違い
- 心電図と同時に記録したときの、筋肉の活動と心拍の変化の時間の重なり
分からないこと・当院での補い方
| 分からないこと | 当院での補い方 |
|---|---|
| 顎がどの方向へ、どれだけ動いたか | 研究では、加速度センサーで記録しました |
| 寝ている間に、どの歯が当たっているか | ブラックスチェッカー |
| 顎関節の動き | キャディアックス |
| 自律神経の働き | 心拍変動・瞳孔反射 |
| 頭痛や肩こりなどの症状の原因 | 筋肉の記録だけでは決めません。症状によっては、医科での評価をおすすめします |
筋電図が表すのは、記録したときに筋肉がどれだけ働いたかです。
2026年の論文で記録したのは、噛み合わせの条件を一時的に変えたときの咬筋の活動で、長い期間続いている噛み合わせの状態との関係は、さらに研究が必要とされています。
筋肉の働きの記録と、一人ひとりの症状の原因や治療の効果は、分けて考えます。
よくあるご質問
- 電極は、どこに貼るのですか?
2026年の論文の研究では、左右の頬の筋肉(咬筋)の上の皮膚に貼りました。
貼る前に、皮膚をアルコール綿で拭いています。
- 筋電図の記録で、症状の原因が分かりますか?
筋電図の記録だけで、症状の原因を決めることはありません。
筋電図が表すのは、記録したときに噛む筋肉がどれだけ働いたかです。
頭痛や肩こりなどの症状によっては、医科での評価もおすすめしています。
- 研究では、なぜ最初に思いきり噛みしめたのですか?
比べるときの基準をとるためです。
最大の噛みしめの記録を基準にすると、ほかの時間の筋肉の活動を割合で表せます。
- 筋電図で、寝ている間の歯ぎしりが分かりますか?
院長の研究では、睡眠実験室で、寝ている間の咬筋の筋電図を記録しました。
顎の動きは筋電図では記録できないため、研究では加速度センサーを組み合わせました。
診療では、必要に応じて、寝ている間の歯の接触をブラックスチェッカーで確かめます。
関連する技術・治療
参考にした資料
筋電図と加速度センサーの説明に、次の公開資料(院長の論文)を参考にしました。当院の診療でのやり方は、院長の投稿・説明によるものです。
- Yoshimi H, Suzuki T, Ono Y. Autonomic Responses to Tooth Grinding under Different Dental Occlusal Conditions. Advanced Biomedical Engineering. 2026;15:36-45(英語)
- Yoshimi H, Sasaguri K, Tamaki K, Sato S. Identification of the occurrence and pattern of masseter muscle activities during sleep using EMG and accelerometer systems. Head Face Med. 2009;5:7(英語)
- Nukazawa S, Yoshimi H, Sato S. Autonomic nervous activities associated with bruxism events during sleep. CRANIO. 2018;36(2):106-112(英語)
相談・お問い合わせ
医療法人社団 耆婆会 吉見歯科医院
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診療日: 月・火・木・金 10:00–13:00 / 14:30–18:00
初診は、検査と診断を行う初診コンサルテーション(自由診療・30分〜1時間)から始まります。他院での診断についてのご相談も、この中でお受けします。
噛めない、症状が強いなど緊急の場合は、お電話(042-795-1359)でご相談ください。

